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[コラム]PFAS問題とは?日本で何が起きているのか|水質汚染・規制・環境リスクを解説

2026.03.10

PFAS問題とは?日本で何が起きているのか|水質汚染・規制の動き・企業への影響を解説

近年、日本でも「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる化学物質による環境問題が注目されています。地下水や河川、水道水源などからPFASが検出された事例が報道され、環境汚染や健康への影響について関心が高まっています。

PFASは工業製品や日用品に広く利用されてきた化学物質ですが、自然環境で分解されにくいという性質を持つため、世界各国で規制が進められています。日本でも水質管理や化学物質規制の見直しが進められており、企業の環境管理や廃棄物処理の分野でも重要なテーマとなっています。

本記事では、PFASの基礎知識、日本国内での状況、規制の動き、企業に求められる対応について整理します。

PFASとは何か

PFASは「Per- and Polyfluoroalkyl Substances」の略称で、日本語では有機フッ素化合物と呼ばれる化学物質群の総称です。炭素とフッ素の結合が非常に強いことから、水や油をはじく性質や耐熱性を持ち、さまざまな産業分野で利用されてきました。

PFASは数千種類以上の物質が存在するとされており、代表的なものとして次の物質が知られています。

  • PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
  • PFOA(ペルフルオロオクタン酸)

これらの物質は、長年にわたり次のような用途で使用されてきました。

  • 防水・撥水加工製品
  • 食品包装材料
  • 半導体製造
  • 金属加工
  • 泡消火剤

しかしPFASは自然環境でほとんど分解されないため、河川や地下水、土壌などに長期間残留する可能性があります。この特性から、海外では「Forever Chemicals(永遠の化学物質)」と呼ばれることもあります。

PFAS問題が注目される理由

PFAS問題が世界的に注目されている背景には、環境中で分解されにくい性質があります。

PFASは長期間にわたり環境中に残留する可能性があり、水環境や生態系への影響が懸念されています。また、人の体内にも蓄積する可能性が指摘されており、健康影響については現在も各国で研究や評価が進められています。

国際的には、残留性有機汚染物質を規制するストックホルム条約において、PFOSは2009年に、PFOAは2019年に規制対象物質として追加されました。これにより、世界各国で製造や使用の規制が進められています。

日本で起きているPFAS問題

日本国内でも、PFASが地下水や水道水源などから検出された事例が報告されています。代表的な例として、沖縄県や東京都多摩地域などでの水質調査が報道され、国や自治体による調査が進められています。

PFASが環境中に広がる原因として指摘されているものには、次のようなものがあります。

  • 工業排水
  • 化学工場
  • 泡消火剤の使用
  • 過去の産業活動

ただし、すべての地域で原因が特定されているわけではなく、現在も調査が続いているケースが多い状況です。

日本のPFAS規制と水質基準

日本ではPFOSやPFOAについて、化学物質審査規制法(化審法)に基づき、製造や輸入などが原則として禁止されています。

また、水道水に関しては、これまでPFOSとPFOAの合計値について暫定目標値(50ng/L)が設定され、水質管理の指標として運用されてきました。

その後、制度の見直しが行われ、2025年の省令改正によりPFOSとPFOAの合計値50ng/Lが水道水質基準として設定され、2026年4月1日から施行される予定となっています。

この基準は、水道事業者が水質管理を行う際の重要な指標となるものです。

PFASと産業廃棄物・環境管理

PFAS問題は水質管理だけでなく、廃棄物管理の観点でも重要なテーマです。

PFASを含む可能性のある廃棄物には、次のようなものがあります。

  • 泡消火剤
  • 化学工業の排水処理残渣
  • フッ素系材料を扱う製造工程の廃棄物

これらの廃棄物を適切に処理しない場合、PFASが環境中へ拡散する可能性があります。

現在、PFASを含む廃棄物の処理方法については、環境汚染を防止する観点から適正処理が求められており、処理技術や管理方法に関する知見の整理が進められています。

企業に求められるPFAS対応

PFAS問題の広がりに伴い、企業においても化学物質管理や環境管理の強化が求められています。

特に製造業や化学関連企業では、自社の製造工程や製品にPFASが含まれていないかを確認し、排水管理や廃棄物管理を適切に行うことが重要になります。

企業が検討すべき主なポイントとしては、次のようなものがあります。

  • PFAS使用状況の把握
  • 排水管理の強化
  • 化学物質管理体制の見直し
  • 代替物質の検討
  • 廃棄物処理の適正化

近年はサステナビリティや環境リスク管理の観点からも、PFAS対応が企業活動の重要な課題として認識されつつあります。

世界で進むPFAS規制

PFASに関する規制は世界各国で強化されており、欧州や北米では水質基準の厳格化や使用制限の議論が進んでいます。

こうした国際的な動向を踏まえ、日本でも今後、化学物質管理や水質管理に関する制度の見直しが進む可能性があります。

PFAS問題は水環境、化学物質管理、廃棄物処理など幅広い分野に関わる課題であり、今後も重要な環境テーマとして議論が続くと考えられます。

まとめ

PFASは撥水性や耐熱性などの特性から長年利用されてきた化学物質ですが、環境中で分解されにくい性質を持つため、世界各国で規制が進められています。

日本でも地下水や水道水源からの検出事例が報告されており、水質管理や環境政策の重要なテーマとなっています。2026年4月にはPFOSとPFOAの水道水質基準が施行される予定であり、今後は水質管理や化学物質管理の取り組みがさらに重要になると考えられます。

PFAS問題は水環境だけでなく、産業廃棄物管理や企業の環境対応にも関係する課題です。今後の制度動向や技術開発の進展にも注目が集まっています。

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