[コラム]サンシャイン水族館、使用済み漁網を再生したユニフォームを導入
2026.02.10

東京・池袋にある サンシャイン水族館 が、使用済み漁網を原料とした再生生地を用いたオリジナルユニフォームを導入し、循環型社会の実践例として注目を集めている。
同館では2026年2月9日から、館内で勤務する案内スタッフが新ユニフォームを着用しており、海洋環境問題と資源循環を来館者に身近に伝える試みとして位置づけられている。
使用済み漁網を再生したリサイクル生地を採用
今回導入されたユニフォームの最大の特徴は、廃棄予定だった漁網を再生した素材を生地に使用している点にある。
素材には、まき網漁業などで使用されていた漁網由来の再生材が13%含まれており、これまで価格面や分別の難しさからリサイクルが進みにくかった漁網を有効活用している。
水族館の発表によれば、使用済み漁網を再生した生地を全面に用いたオリジナルユニフォームの採用は、国内の水族館では初の事例とされている。
「Re:ism」を通じた漁網リサイクルの仕組み
このユニフォーム素材は、カイタックグループと長崎県の漁業関係者が連携する漁網リサイクルプロジェクト「Re:ism」を通じて開発されたものだ。
本来は産業廃棄物として処理されてきた漁網を回収し、再生素材として衣類へと循環させる仕組みを確立している。
海洋プラスチック問題が国際的な課題となる中、回収から再資源化、製品化までを可視化した取り組みは、循環型社会の具体的な実装例といえる。
ユニフォーム自体が「環境教育の入口」に
サンシャイン水族館では、新ユニフォームの導入にあわせて、漁網がどのようにリサイクルされ、生地へと生まれ変わるのかを紹介する展示も実施している。
展示は館内1階「サンゴ礁の海」水槽付近で、2026年2月9日から3月19日までの期間限定で行われ、来館者が循環の流れを視覚的に理解できる構成となっている。
水族館という「海の生き物を学ぶ場」で、スタッフが日常的に身に着けるユニフォームを通じて環境課題を伝える点が、この取り組みの特徴だ。
旧ユニフォームも回収・再資源化へ
循環の考え方は、新ユニフォームだけにとどまらない。
これまで使用していた旧ユニフォーム約550枚(約240kg)は回収され、カイタックグループの衣類リサイクルシステム「MUDA ZERO」を通じて再資源化される予定となっている。
さらに、新ユニフォームについても、破損や劣化により着用できなくなった場合は同様に回収・リサイクルする運用を想定しており、衣類廃棄物の削減と資源循環の両立を目指している。
水族館から広がる循環型社会の実践例
水族館は、生態系を展示する施設であると同時に、環境問題を伝える教育拠点でもある。
サンシャイン水族館の今回の取り組みは、海洋ごみ問題や廃棄物削減といったテーマを、来館者の日常感覚に近い「衣類」という切り口で提示した点に意義がある。
展示を見るだけでなく、スタッフのユニフォームを通じて自然に循環型社会を意識できるこの試みは、今後ほかの公共施設や商業施設にも広がる可能性を持つ実例といえるだろう。
まとめ
使用済み漁網を再生したユニフォームの導入は、単なる環境配慮型デザインにとどまらず、回収・再資源化までを含めた循環の仕組みを実装した点に特徴がある。
サンシャイン水族館の取り組みは、廃棄物問題と循環型社会を「わかりやすく、身近に伝える」新しいモデルとして注目されている。
