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[コラム]日本、深海からレアアース泥の回収に成功|資源確保と海洋環境保全の両立が課題に

2026.02.03

日本の研究機関が、太平洋・南鳥島沖の深海でレアアース(希土類元素)を含む泥を回収する試験に成功したことが、2026年2月初旬に報じられました。水深およそ6,000メートルという極めて深い海域から、堆積物を連続的に引き上げる技術的な実証に成功した点は、資源分野だけでなく、海洋環境の観点からも注目を集めています。

深海に眠るレアアース資源が注目される理由

レアアースは、電気自動車(EV)のモーターや風力発電設備、電子機器などに使われる重要な資源です。報道によれば、今回回収された深海の泥には複数のレアアース元素が含まれていることが確認されており、今後は含有量や回収効率、精製の実現性などについて分析が進められる予定とされています。

一方で、今回の成果は研究・実証段階の試験であり、現時点で商業化の時期や規模が確定しているわけではありません。技術としての可能性が示された段階である点を踏まえて、冷静な評価が必要です。

環境面での懸念:深海生態系への影響をどう評価するか

深海は、生態系の構造や回復速度が十分に解明されていない領域でもあります。そのため、レアアース泥の採取は「資源としての可能性」と同時に、「海底生態系への影響」を慎重に評価する必要があるとされています。

深海での採取では、海底の堆積物を攪拌(かくはん)したり、採取機器の接地・移動が発生したりする可能性があります。こうした行為が生物の生息環境にどのような影響を与えるのか、また影響が生じた場合にどの程度回復可能なのかについては、今後の科学的検証が欠かせません。

環境負荷を最小限に抑える技術開発や、長期的なモニタリング体制の整備など、「採る前提」ではなく「影響を把握し、必要なら止められる」枠組みづくりが重要になります。

持続可能な資源利用への一歩となるか

今回の深海レアアース泥回収の成功は、深海資源という新たな選択肢を示した点で意義があります。ただし、資源利用が進むほど環境面の論点も大きくなるため、今後は「海洋環境の保全」と「資源確保」の両立が前提となります。

レアアース需要が高まる中で、どのように自然環境への影響を抑えつつ資源を活用していくのか。研究成果の積み重ねと透明性の高い情報公開を通じて、科学的根拠に基づく判断が求められています。

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