[コラム]アジアを襲った記録的寒波と豪雪 ロシア極東・中国・日本で広がる異常気象の影響
2026.01.27
2026年1月下旬、アジア広域を覆う強い寒波により、ロシア極東、中国、日本で記録的な豪雪と低温が発生しました。ロシア極東では「60年で最も激しい降雪」とされる事態となり、中国・上海では珍しい降雪、日本では日本海側を中心に交通機関が大きく乱れました。専門家はこの現象について、北極域からの冷気の流れ込みとジェット気流の蛇行が関係していると指摘しています。
本記事では、今回の寒波の実態、日本への影響、背景にある気象メカニズム、そして環境問題としての位置づけについて整理します。
ロシア極東で60年ぶりの豪雪 都市機能がまひ
ロシア極東のカムチャツカ半島では、2026年1月に入ってから短期間で2メートルを超える積雪が観測され、12月分と合わせると一部地域では3.7メートルに達しました。建物の出入口が塞がれ、自動車が雪に埋まり、住民が雪を掘り進めて通路を確保する様子が報じられています。
港湾都市ペトロパブロフスク・カムチャツキーでは、信号機の高さにまで雪が積もり、人々が雪の上を歩く映像も公開されました。住民からは「砂丘のようだ」と表現されるほどの積雪量で、都市機能が大きく麻痺する事態となっています。
中国・上海で異例の降雪 急激な気温変化も
この寒波は南下し、中国東部にも影響を及ぼしました。金融都市・上海では、2018年以来となる本格的な降雪が観測されました。1週間前には20度前後の暖かさとなり、花が咲いたという報道もあった中での冷え込みです。
住民からは「先週は20度を超えていたのに、今週は氷点下で雪が降っている」「気温変動が極端で体調が心配」といった声も上がっており、急激な気候の振れ幅が生活に影響を与えています。
中国では長江・淮河以南の複数省でも大幅な気温低下が予想され、高速道路の通行止めなど交通網にも広範な影響が出ました。
日本でも大雪と強風 気象庁が移動自粛を呼びかけ
日本では、日本海側を中心に強風と大雪が発生し、航空・陸上交通が大きく乱れました。特に北海道を中心に影響が集中し、新千歳空港では多数の便が欠航となり、数千人規模の利用者に影響が出ています。
日本気象庁は、1月21日から25日にかけて北日本および西日本で大雪となる可能性があるとして、不要不急の外出を控えるよう注意喚起を行いました。観光地やスキーリゾートが多い地域でも交通障害が相次ぎ、冬季の自然災害リスクが改めて浮き彫りとなりました。
なぜ起きたのか 専門家が指摘する大気の異変
気候研究者によると、今回の寒波は「北極からの冷気の波が同時多発的に南下した」ことが大きな要因とされています。
通常、北極域に存在する「極渦(ポーラーボルテックス)」が強いと冷気は高緯度に閉じ込められますが、現在はこの極渦が弱まっており、その結果、ジェット気流が蛇行しやすくなっています。蛇行したジェット気流に沿って冷気の塊が中緯度まで流れ込み、ロシア東部、東アジア、さらには東欧にまで同時に寒波が広がったと分析されています。
環境問題との関係 「寒波」と「地球温暖化」は矛盾しない
一見すると「地球温暖化なのに寒波」という印象を持たれがちですが、専門家の間では、温暖化が大気循環を不安定化させ、極端現象を増やしている可能性が指摘されています。
北極域の温暖化は、赤道と極域の温度差を変化させ、ジェット気流の流れを弱める要因になり得ます。その結果、寒気や暖気が一箇所に留まりやすくなり、「記録的猛暑」「異常寒波」「豪雪」「長雨」などの極端現象が起こりやすくなると議論されています。
今回の事例も、単なる一時的寒波ではなく、気候変動時代におけるリスクの一つとして注視されています。
日本にとっての示唆 災害・エネルギー・都市インフラ
今回の寒波は、日本にとって以下の点を改めて突きつけています。
- 冬季災害への備え(交通網、物流、孤立集落対策)
- 気候変動に適応した都市設計・インフラ強化
- 電力需要急増時の安定供給体制
- 観光・物流産業への影響と事業継続計画(BCP)
特に、雪害は高齢者の事故や物流停滞、経済損失とも直結します。温暖化対策と同時に、「極端な寒さ」への適応策も環境政策の重要なテーマとなっています。
まとめ
2026年1月の寒波は、ロシア極東の記録的豪雪、中国・上海の異例の降雪、日本の広域交通障害と、アジア全体に深刻な影響を及ぼしました。その背景には北極域の大気循環の変調があり、気候変動時代における新たなリスクの一端といえます。
環境問題は「暑さ」だけでなく、「寒さ」「雪」「気温変動の激化」という形でも社会に影響を与え始めています。今後、日本においても異常気象への適応と防災を含めた総合的な環境対策が、より一層重要になっていくと考えられます。
参照:Russia’s Far East buried in snow, transport disrupted in China and Japan
