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[コラム]ミツバチが減少する深刻な理由とは?猛暑が巣の温度と女王バチの産卵に影響

2025.09.17

猛暑が続き、ミツバチの数が減少

近年の猛暑は、人々の生活だけでなく、ハチミツ生産や農業に欠かせないミツバチにも大きな影響を与えています。
特に、巣の中の温度上昇が女王バチの産卵に直接関係し、結果的にミツバチの数が減少していることが明らかになっています。

 

女王バチの産卵と巣内の温度

ミツバチの巣の中は通常34度前後に保たれています。しかし、それ以上の高温になると働きバチの活動が鈍り、女王バチも産卵を控える傾向にあります。本来であれば1日に2000〜3000個の卵を産む女王バチですが、猛暑の影響で卵の数が大幅に減少し、巣の内部には卵がほとんど見られない状況が確認されています。

 

養蜂場での取り組みと現状

全国の養蜂場では、毎年大量のセイヨウミツバチを飼育し、ハチミツ生産や農作物の受粉作業に活用しています。しかし2025年は梅雨が短く、気温上昇のタイミングが早かったことに加え、連日の猛暑が続いたことで女王バチの産卵数が減少。予定していた飼育数よりも2割ほど少なくなる見込みです。

一部の養蜂場では、山間部へ巣箱を移動させ、直射日光を避けるなどの工夫を行っていますが、それでも減少を完全に防ぐことは難しい状況となっています。

 

農作物への影響と農家の対応

ミツバチの減少は、イチゴやメロン、スイカ、きゅうりといった農作物の受粉不足につながります。特にイチゴでは、国内の栽培面積の8割以上でミツバチが利用されており、活動低下が品質や収量に直結します。

受粉がうまくいけば果実の形や色づきが良くなり、栄養価も高まりますが、受粉不足では形がいびつになったり収穫量が落ちたりする可能性があります。農家では、ビニールハウスに遮光材を施すなどして温度管理を徹底し、ミツバチが活動しやすい環境づくりに取り組んでいます。

 

経済への影響も拡大

農業・食品産業技術総合研究機構の推計によると、ミツバチによる受粉の経済効果は国内で約1800億円に上るとされています。猛暑によるミツバチ不足は、農業生産にとどまらず、私たちの食卓や食品供給全体にも影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。

 

専門家の見解

専門家によると、ミツバチは本来温度管理に優れた生き物ですが、近年のような極端な猛暑には対応しきれず、女王バチの産卵停止や働きバチの活動低下が起きやすくなっています。
このままでは受粉用のミツバチ供給が不足し、農業生産の低下を通じて食卓に影響が及ぶリスクも十分に考えられます。

 

まとめ

猛暑によるミツバチの減少は、ハチミツ生産の低下だけでなく、農作物の受粉不足を引き起こし、農業全体に深刻な影響を与えています。

今後は、環境に適応した養蜂技術や農業の温度管理対策を進めることで、ミツバチと農作物の持続可能な共生を守ることが重要です。

参考:ミツバチの数が減少 巣の高温が女王バチの産卵に影響

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