[コラム]一般ごみに見えて実は産業廃棄物!?動植物性残さをはじめとする見落としがちな事業系廃棄物の実態と対策
2025.05.15

事業所から出るごみの中には、「これは普通のごみ(一般廃棄物)でしょ」と思いがちなものが多数あります。
しかし実は、法的には産業廃棄物に該当し、適正な処理が求められるケースが多く存在します。
特に、飲食店やスーパー、食品加工業などで発生する動植物性残さは、その代表例です。本記事では、動植物性残さを含む誤認されやすい産業廃棄物の具体例を解説するとともに、品川区や東京都で信頼できる許可業者を探す方法についても紹介します。
本記事は、企業や店舗で廃棄物管理を担当されているご担当者様、特に産業廃棄物の適正処理に関心をお持ちの方に向けた内容となっています。実務に役立つ具体例や行政の名簿情報も掲載していますので、ぜひご活用ください。
一般廃棄物と産業廃棄物の違いとは?
まず押さえておくべきなのは、「事業所から出るごみ=一般廃棄物ではない」ということです。
一般廃棄物(事業系)
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主にオフィスや小規模店舗から出る日常的な紙くずなど
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市区町村の許可業者による収集が必要
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数量が少なく、内容が家庭ごみに近い場合が該当することもある
産業廃棄物
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事業活動に伴い発生する特定の廃棄物(政令で指定)
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専門の産業廃棄物収集運搬業許可業者への委託が必要
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排出事業者は「マニフェスト」等による管理責任あり
実は産業廃棄物だった!見落としがちな事例5選
① 動植物性残さ(飲食店・食品工場)
例:野菜の皮、肉や魚の切れ端、調理くず、廃棄弁当など
事業活動によって発生する食材の残さは「動植物性残さ」として産業廃棄物に分類されます。見た目は家庭の生ごみに似ていても、排出者が事業者であれば法的には産廃扱いです。
② 廃プラスチック類(工場・オフィス・倉庫など)
例:包装材、シュリンクフィルム、プラスチック容器、使い捨て食器
見慣れた包装資材や容器類も、事業活動で使用・廃棄されたものであれば「廃プラスチック類」として産業廃棄物です。
③ 紙くず(印刷業・建設業)
例:印刷ミスの用紙、型紙、包装紙、事業系チラシの端材など
オフィスで出る紙くずは一般ごみとされることが多いですが、印刷・製本・建設現場等の紙くずは産業廃棄物に該当します。
④ 汚泥(飲食業・食品製造業)
例:グリーストラップの汚泥、洗浄排水の沈殿物
排水処理設備に溜まる汚泥は「汚泥」という産業廃棄物に分類され、定期的な適正処理が必要です。
⑤ 廃油(厨房・整備工場)
例:揚げ物で使用した廃食用油、機械潤滑油、グリース
調理で使用した廃油も、事業活動に由来するものは全て「廃油」として産廃扱いされる場合があります。
動植物性残さはなぜ危険?誤分類によるリスク
違法処理になる可能性
本来産業廃棄物であるものを、自治体の一般ごみとして出すと、廃棄物処理法違反となる可能性があります。
罰則と責任
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事業者には排出責任があり、違法処理の場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金
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法人には最大で1億円以下の罰金
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実名報道や業界内の信用低下、取引停止のリスクも
正しい処理のための基本ステップ
1. 自社の排出物を分類する
食品くず、包装資材、洗浄排水の残渣など、自社から出るごみを細かく分類し、それが法的にどの廃棄物区分に該当するかを確認しましょう。
2. 許可業者に委託する(産廃 or 一般)
▼ 一般廃棄物の処理なら…
「品川区一般廃棄物収集運搬業許可業者名簿」を活用してみる
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品川区内で発生する事業系一般廃棄物は、区が許可した業者に委託が必要
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区の公式サイトで名簿を公開
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業者名、許可番号、連絡先などが記載されており、選定に便利
名簿の入手方法
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品川区公式ホームページにアクセス
URL:https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/ -
品川区における一般廃棄物収集運搬許可業者のぺージにアクセスする
トップページ > 環境・まちづくり > ごみ・リサイクル > 事業者の方向けの情報 > 事業系ごみを出される方へ > 品川区における一般廃棄物収集運搬許可業者 ※許可業者一覧表はこちらから
▼ 産業廃棄物の処理なら…
「産廃情報ネット(さんぱいネット)」を活用!
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公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団が運営する公開データベース
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許可番号、収集運搬の種類、マニフェスト対応可否など詳細情報を確認可能
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信頼性の高い産業廃棄物処理業者を見つけられる
産廃情報ネット
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産廃情報ネット -さんぱいくん-
URL:https://www2.sanpainet.or.jp/index.php
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3. 委託契約とマニフェストの運用
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産業廃棄物の場合は「委託契約書」と「マニフェスト伝票」の作成・保管が必須
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処理ルートの透明性と法令遵守の証明となる
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電子マニフェストの利用で効率化も可能
再資源化の選択肢も検討を
食品系の産業廃棄物は、ただ焼却するのではなく、資源として再利用できるケースもあります。
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堆肥化(肥料)
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飼料化(動物用)
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バイオガス発電
食品リサイクル法の観点からも、排出事業者としての社会的責任を果たす手段として注目されています。
まとめ|「一般ごみに見えるから大丈夫」では通用しない!
動植物性残さをはじめとした「見た目は普通のごみ」でも、事業活動に起因するものであれば、法的に産業廃棄物として扱うべきものが多く存在します。
誤って処理すれば法令違反につながるだけでなく、社会的信用を損なうリスクにも直結します。
✅ 最後に確認しておくべきポイント
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自社のごみが動植物性残さ・廃プラ・汚泥などに該当しないか再確認
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品川区一般廃棄物収集運搬業許可業者名簿で一般廃棄物業者を確認
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産廃情報ネットで許可業者の実績や内容をチェック
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契約書とマニフェストで法的管理を徹底
正しい知識と対応で、適正な廃棄物処理とコンプライアンス経営を実現しましょう。
著者紹介
名前: 中林 一樹(なかばやし かずき)
プロフィール
2014年より株式会社アール・イー・ハヤシに入社。以降10年間、産業廃棄物管理のスペシャリストとして従事。
産業廃棄物の処理とリサイクルに関する豊富な経験を持ち、環境保護に対する深い知識と情熱を持っています。
現在も、株式会社アール・イー・ハヤシの管理部門で環境管理責任者として、日々業務に励んでいます。